薫風対談2

薫風対談2

西:アコちゃんはさあ、どうやって詩を書くの?
鈴:アタシ~?(笑)教えて欲しいくらいですよ。
西:いや、発作的になのかさ。
鈴:ああ、そうかも。たまにしかこないからさあ、そんな発作。
西:ゼイタクだなあ、おい。そう云ってるのは。
え、恋の絶頂期かさ、失恋の時 とさ、それから恋の予感(嬉しそうに)のときかさ。
鈴:あ、でも予感の時期は大事ですねえ。想像力もすごいしねえ(笑)。
西:いやいや(笑)。ボクもちょっとはそういう経験してるからさあ(嬉しそうに)。
鈴:あ、こないだ飲んだとき酔っぱらって喋ってましたよ,いろいろと(笑)。でもねえ、そのあとTさんが、『人数が増えてる』って云ってました、アハハハ。
西:そりゃそうだ、釣った魚と同じなんだよ(笑)
前はこのぐらいって云っててどんどん大きな魚になってくんだよ、云うたンびに(笑)。ゲージュツカはウソつきだから(笑)。
鈴:(笑)ひとつ言えることはねえ、アタシの場合は、気持ちの波がロウからハイに変わる時に(歌が)できることは確かですね。
西:そうだろ?ロウのときはダメだよなあ?
鈴:そう。で、やっぱりライブなんかはハイだから,ライブばっかりやってるときってあんまりできないみたい。歌が。両方がないとね。意識的に隠るところも確保してるかも。
西:なに、どうやって出てくるの?
鈴:アタシは全部が一緒に出て来ちゃうから・・
西:いいじゃない、ラクで。
鈴:いや,全部がちょっとづつ散らばってるの。
それを『いっこ』にまとめるのがすっごいタイヘン。
西:『建築』型、かもな(笑)。今思い付いたんだけどさ。『刺繍』型と『建築』型。
鈴:『建築』ですかあ?
西:オレは『刺繍』型だなあ。
鈴:?でも結局さ、最後はそれするしかないでしょ。
どっちみち。
西:そう、そう。作業ってそうなんだよ。
鈴:どういう風にはじまろうと、最後は刺繍するしか。
西:発想としては建築ってのもあるけど作業としては刺繍だな。
鈴:みんな良く『降りてくる』って云うけどさ。
西:あんなのウソ、ウソ。
鈴:(興奮して)ねー!! 私もそう思う!・・下からくるんだよ(笑)。
西:瞬間的にひらめくってことはあるけどもさ。
鈴:一時、がんばらない、っていうのが流行ったけどさ。
でもあるところではやっぱしがんばんないと。ズー。
西:やっぱり作る時はね。がんばんなきゃね。音になんないよ。

鈴:絵は子供の頃から?
西:ちがう、ボクはねえ、絵がヘタでねえ。ずっとコンプレックスだったの。学生のときとかさ、いるじゃない、マンガのうまいやつとかさ。コンプレックスだったねえ。で、ある時、ほら、写真なんか撮ってると人の顔とかいろんな『もの』をじっくりみてる内に、描けるようになってたんだね。
鈴:ふうん。
西:突然ね。それからずうっと描いてる。ボクがね、唯一できないのは『音でモノを考える』ってこと。聞けばわかるんだけど、どうして音で雨だれとかそういうことができちゃうのかさ。
鈴:ところでいつから東京に住んでるんですか?
西:ボクは大学。
鈴:大学で何をやってたんですか?
西:エ、エ、英文科!
鈴:えー!うそ。
西:ホント。英語の文学をやるんだよ!
それは分かる(笑)。
鈴:あと、聞きたいのは、『ハツコイ』(笑)。
西:いやあ、そんなの云ったって面白くない。
鈴:え、散ったんですか?
西:何が?
鈴:ハツコイ
西:(笑)そりゃ、とーぜん、ふふふ、初恋をまっとうするなんて・・・ていう人もいるんだよな、ときどきな。
T:いつも初恋なんでしょ。
西:そういうのは『スケベ』、っていうんだよ(笑)。オレはね、フラれた後の感じがね、すごい快感だね。
鈴:とかなんとかいって、フラれると気が楽になるんでしょ?いろいろ。それがいいんじゃない?(笑)
西:そう問いつめないでよ。(笑)

この後、しばし『スケベトーク』。

 

カラス カア、カア、カア
西:(Tさんに向かって)ライカはいいねえ。これはなんつったって丈夫。砂漠やなんかへもってくと良く分かる。
鈴:へえ。アタシ砂漠好き。
西:オレだってそうだよお。
砂漠の紀行文とかたくさん書いたよ。
鈴:何に?
西:何、って、ごにょごにょごにょ○×◆◎?・・覚えてないけどさ、そんなのいちいち。
鈴:覚えてなさそうだねえ。私もこのあいだ(西川さんの)本(『悦楽的男の食卓』)をやっと古本屋で見つけて。
西:そうだよお、60冊以上何やかや出してるんだから。忘れちゃうよお。

 

鈴:(日が陰ってきて)なんか、日陰になってきましたね。移動する?
西:しょーがねーよ。・・・日陰の身なんだからさあ(笑)。
T:なんかオレ酔っぱらって来た。
西:オレはねえ、アル中になっちゃうんじゃないかって、すごい不安。
鈴:ええ?自分が?全然そんな心配なさそうだけど。
西:あるよお。
鈴:あれはやっぱし脳からでるホルモン?
西:弱さだね。オレ弱いからさあ。
鈴・T:大爆笑 えー、弱いのお?
西:うん、弱い。全て弱いね(笑)。いつもコントロールしてるんだよ(笑)。気を使ってさ(笑)。
鈴:(笑)あたしも実はねえ、遺伝的にそんな危機感があってねえ。で、春先になるといつも自粛しようかななんて思ったりする。思うだけだけど。
西:人間てやっぱ弱いんだよ。だからさっきのセミナーとかでこう生きるべし、みたいなのは、そんなもんじゃねえ、って思っちゃう。
鈴:うん。私もいろいろあっても結局は、『まあどうでもいいや』って思うのは血筋のそれがあるからなんだと思う。しょうがないじゃん、て。
西:そうだな、あの『ふてくされ』には、豊かさと同時に、何かを見たな、っていうのが出てるな(笑)
鈴:(笑)ズー。
持って生まれたものはねえ、いつか何かの形ででちゃうんだね、隠して死ぬことはねえ、できないんだよ(笑)。。

皆、かなり酔って来ている

西:アル中の本をね、書こうと思ってる。
鈴:ああ、みんな必要としてるんじゃないですか?そういうね、心の問題をね,『こうすればいい』とか答えをアレするんじゃなくてさ,『まあいいじゃん』て方にね、持ってくようなのが。ね、いつもこの対談、風にちなんだ名前にしてるんだけど、今回は何にしましょう?
西:じゃ、酒にちなんでね。薫風。薫風ってさ、ちょっと酔った時のホラ、辞書引けばあるけどさ、辞書引かないとわかんないからさ。クン、って、あの、クンって・・教養があると大変だな、オイ(笑)。

fin

 

●●花粉大量に舞う、春先の公園にて。いつもながらテ-プおこしをしていて、ワタクシのしゃべり方には、なんと知性が感じられないのだろう、と思いつつ、あの日の 雰囲気が蘇ってグラスを手にし出したら、自粛はどこへやら、テープおこしが終わる 頃には、そうとう酔っぱらっておりました。あの日はこのあと、西川さんとカメラのTさんと私の3人でフラフラしながら某バー に移動。西川さんはさらにドライマティーニをたくさん飲んでいました。結局2時から終電まで飲んでいたことになります。それにしても、西川さんて、なんでこんなに可愛いんだろう!(失礼)。こんど飲む時は、恋人の数が1.5倍に増えていそうです。あと、和歌山、静岡、宮崎の皆さま、あれはホメ言葉です。またお邪魔します。

2005年3月26日 都内某所にて。