<64>壁から生ジラス

<64>壁から生ジラス

夢の中でワタシは、18才まで実際に住んでいた実家によく似た家に、住んでいた。
庭の松の木の下に、いつもライオンの子供が一頭ひる寝をしており、それをワタシは毎日(という夢の中の時間かんかく)なにげなく眺めていたが、ある日(という夢の中の時間かんかく)、そういえば普通の家でライオン飼っていいのだろうか?と考え出す。保健所に届けなければいけないんじゃないか?許可証をとるとか、予防接種をしなきゃいけないんじゃないか?そもそも、なんでウチにライオンがいるんだろう?お母さんが歯医者に行って、歯医者で生まれたライオンの子を、全部育てられないから一匹貰って、と云われて貰ってきたんだろうか?(なぜか歯医者)

それを母に相談しようと、買い物にでも行った母を待っていると、突然、家の白い壁がうねうねとしはじめ、ゼリーのようになった。あちらこちら、みるみる何かが湧き出て来た。出て来たものを、手にとって見てみると、それは生ジラスだった。透き通るカラダに黒目だけがポツンポツンとついている。どう見ても生ジラスだった。一匹一匹、イキがいい。夢を見ている私はとても驚いているが(なんとなく意識がある)、夢の中のワタシはそうでもない。ワタシはそれを口に入れてみた。美味しかった。まるで壁の向こうに海があって、そこから直に壁を通ってきたみたいに塩味もついていて、醤油などいらなかった。

ワタシは、生ジラスを次から次へと食べながら、母を待った。そしたら、スーツを着た建物鑑定士みたいなオジサンたちが4人くらいやってきて、お母さんに用があるので待たせて欲しい、といってウチに上がり込んだ。
ワタシは生ジラスの部屋に、細長いちゃぶ台を出して、来客に座っていただいた。そして、実はこの部屋では・・・、と説明し、ほらこうやって食べるんですよ、と実践して見せた。今お茶出しますから、それまで生ジラス食べててください。オジサンたちはこぞって生ジラスを食べ出した。踊ってるみたいに見える。
そこで夢は終わった。

 

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