強風対談 (1/2)

鈴木亜紀 vs エミ・エレオノーラ

迷いこみゲスト:中川五郎さん
(対談中にたまたま電話があり、合流していただいた)




エミ・エレオノーラ profile

アート・ダメージスト・ポップ・ロック・バンド、
『デミセミクエーバー』のヴォーカリスト。
他にも多数のバンド、作品に参加・楽曲提供。
ミュージシャン以外でもアーティスティックに活躍している
フィメール・ドラァグ・クイーン、
音楽芸者として東京を中心に海外でも活躍中。
他、
作家、モデル、女優(映画『東京☆ざんすっ』『I.K.U』など)としても大活躍。

中川五郎 profile

大阪出身。
60年代半ば高校生のころアメリカのフォークソングの影響を受けて
自分で唄をつくり、歌い始める。
70年代にはいって音楽の原稿や歌詞対訳の仕事も手がける。
その後、小説の翻訳や執筆も行い、現在はそのいずれの分野でも活躍中。
最近ではハニフクレイシの『ミッドナイトオールデイ』の翻訳がある。


エ:エミ  鈴:鈴木  中:中川



鈴   じゃ。
エ   かんぱーい。
鈴   やっぱ昼間外で飲むっていうのがいいですよね。
エ   おにぎりつくってきたんだよね、きのうののこりだけど。
    ちょっと春のカンジにしてみました。
鈴   うれしい!
    (そこへ、強風、ビニル袋など飛んでいく。
    二人回収に追われる。)
エ   こないださあ、ああ、ああ(またビニル舞う)
    こないださあ、
鈴   アア、また(どんどんビニル舞う)
エ   (笑)こないださあ、ハードコアの子がさあ
    (さらにビニル舞う)
鈴   (笑)(ビニル追う)
エ   ハードコアの子がさあ、結婚するっていって
    河原でバーベキューやったんだけどさあ、
    何にも食べられないの、風で。
    あたしがこういうこと
    (食べ物のふたをあけたり、ゴミをまとめたり)
    するとなんでか、すごい風がふくんだよねえ、
    なんか今日もすごい、強風対談!
鈴   (エミさんのつくってくれた弁当箱のふたをあけ)
    あ!すごい!
    (おにぎりのあいだにゴムボールやボンボンが入っている)
エ   遊べるでしょ。
鈴   (笑)料理好きですか?
エ   うん、結構するよ、アキちゃんもやるでしょ?

photo 01

鈴   ん〜、やるけど差が激しい。いいときと悪い時と。
    まずいときはね、もう、どうにもならなくなっちゃって。
    そういうときは何をどうやってももう不味くなる一方ですね。
    で、冷凍しとくんです、で、何ヶ月かして取り出すと、
    やっぱり不味いんです。
エ   あたしはねえ、今までで一番マズかったのはねえ、
    『江戸ゼリー』。
鈴   (爆笑)
エ   友達が来て、すき焼きの残り汁にゼラチン入れたのね。
    これはきっとすごい『うまみ成分』だよ、とか何とか云って。
    マズカッタねえ〜。(笑)
鈴   それにしても、なんでそういう格好が自然なんだろう。
エ   こういうのが動きやすいじゃない。(写真参照)
鈴   そういう格好してても
    (エミさんの)中身のほうが強く出てますよね。
エ   だって本来ジミなのね。
鈴   (笑)
エ   こういう、昼間の公園にいたりとか
    そういうジミなことが好きなのね。
    幸せ感じるトコって、すんごい素朴だったりするしね。
    ハデな友達は多いけど。
    おいしいよ、このサバの棒寿司。

photo 01

鈴   うまい。
エ   うまい。
    おとといデミセミのライブだったのね。
    すごいあれ激しいから、今やっと落ち着いたってかんじ。
カラス アー、アー、アー。
鈴   即興なんですか、デミセミ?
エ   いやあ、もうなんだかわかんない。(笑)
    ソロはほとんど即興だけどね。
    バンドとソロと両方ないとダメなんだよね。
    やっとそれでバランスとれる。
鈴   わかるわかる。
    ひとりだといいこともたくさんあるけどね。
エ   影響をうけるのがいいんだよね、
    良いとこも悪いとこも。バンドやってると。
鈴   デミセミは結成して何年くらい?
エ   っとねえ、(しばらく考えている、カラス鳴いている)
    ・・・忘れた。

鈴   もともとクラッシックやってたんですよね。
    あたしもそうなんだけど。
エ   あ、そうだよね。
    ・・あれ、ってどう?クラッシックって。
鈴   うーん、今でも好きではありますけど。聞くのは。
エ   お互い練習とかにはなってるのかもね。
鈴   すごい物理的に、手の筋肉とかそういう意味でもね。
エ   あと譜面とかね。
    やっといてソンはないよね、なんでも。
    スタジオ仕事なんかするとそう思ったりする。
鈴   え、スタジオ、やるんですか?どういうの?
エ   けっこういろいろ。変態から(笑)仕事が来る。
    ビジュアル系とかもね。
    CMとかもけっこうやるんだけどね。
    フランス語で唄うやつとかね。
    フランス語で唄ってると思われてるみたいで。(笑)
    ・・・なんかあの浮浪者の人、
    ちょっとだんだんこっちに移動してきたよね?
鈴   オレもいいかな、とか云われたりして。
エ   そしたらすごい対談だねえ。

鈴   アルバイトなんてどんなのやってきました?
エ   いろいろあるけどね、全部サ−ビス業。
    サービスしないと多分死んじゃうんだろうね。(笑)なんかね。
鈴   (大笑)
エ   サービスするのってぜんぜん苦痛じゃないのよ。
    一番いやなのは『サービスしてて疲れない?』
    って云われるのが一番ヤダ。
    水商売大好きなのね。酒好きだし。
    楽しくてしょうがなかったね、しかもタダ酒だし。
鈴   あたしもねえ、・・(間あって)
    ・・モニカちゃんとかもやったことありました。
エ   へえ、モニカ?あたしなんかリサよ。
鈴   (爆笑)
エ   エミだ、って云ったんだけど、
    エミってだいたいどこにでももういるのよ、
    で、だいたい美人じゃないわけ、
    で水商売のエミってよく死ぬのよ。
鈴   えー!!(爆笑)
エ   で、そういう理由で『サヨコ』って時もあった。(笑)

ここで中川五郎さんより電話が入る。

鈴   『あ、どうも!ええ、今?対談です、
    ていうか飲んでるだけなんだけど、公園で。
    え?エミ・エレオノーラさんと。羽根木公園の梅のところ。
    え?ご近所ですよね。
    エミさんがお酒かって来て、って云ってます。
    (笑)ぜひいらして下さい、お待ちしてます。』
エ   いい季節だよねえ、しかし。
    以前ねえ、ハワイに行った時に、向こうの人が、
    なんでみんなハワイに住まないんだ、って云うわけ。
    常春で、いつも天気がいいのにって。
    で、けっこうそのとき小説書き終えて疲れてたから、
    ハワイに住んじゃおうかなんて思ったりもしたんだけど、
    でもねえ、やめたね。
鈴   なんで?
エ   タワーレコードが『ヤマザキパン』くらいの広さで(笑)
    凄く狭いの。で、マイケルジャクソンとマドンナしかないの。
    ギャラリーと云えばラッセンしかないわけ。
    あたしのような屈折した音楽は要らないんだと思ったのよ、
    ああいうところは。
鈴   ああ、なるほど。
エ   アキちゃんは、アレだよね、
    バカ明るい、ってカンジじゃないよね。
    暗いっていうんじゃないんだよ。うん・・。
    なんかキャラみてると、ネアカなのに。
    底抜けに明るそうなんだけど。
鈴   え、そうですか?
    (のちに、それは相手がエミさんで、
    いつも笑いこけてしまうことに気がつく)
エ   うーん。でもウタ聞いてるとそういうんでもないんだよね。
    そこに共鳴したのかもしんない、あたしなんか。
鈴   うーん。うれしいなあ。でも自分で云うのもヘンだけど、
    結構屈折してるんだと思う。
エ   へえ、そういうかんじしないけどねえ。
鈴   うん、出にくいんです、というか、ヒタカクシ、かも。
エ   へえ、それは・・・(間があって)・・いいねえ!
二人  (大笑い)
鈴   エミさんは、ステージみてると、しばらくピアノ弾きまくって、
    最後のほうに言葉がでてくるでしょ?
エ   ときどきすごい暗いのが出てくる時あるよね?
鈴   というか、あの言葉がなんかね。けっこうどんずまりの言葉、
    というか。
    残る。哲学的なの。

エ   ぜったいさあ、表現てさ、セクシャリティと一緒で、
    ゲイとかレズとかストレートとかだけじゃないみたいに、
    一言でいえないものなのよ、明るいとか暗いとかでは。
    暗いんだけどコレをヤケクソで明るくしてみよう、とか、
    明るいんだけどコレを暗くしてみよう、(笑)とかさ。
鈴   そう(笑)!
エ   いろんな時があるの。なんでだかわかんないけど。
    アキちゃんとあたしはさあ、
    ヒトからみたら全然接点なさそうだけど、
    やっぱりあるんだと思うの。
鈴   あたしもそれを感じた!
エ   感じた?
鈴   感じた、感じた。
エ   だから、すごーい暗いってとこのものを、
    明るいところにもってく、みたいな音楽が好きかな。
鈴   (共感)


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