薫風(くんぷう)対談 (1/2)

鈴木亜紀 vs 西川治



西川さんは鈴木亜紀を『アコちゃん』と呼びます。
結構好きな呼ばれ方です。
すでにアーティスト西川治さんをご存知の方々は
たくさんいらっしゃるとは思いますが、
あらためて、私からのご紹介を。



西川治 profile

写真家、文筆家、画家。
料理人としてもテレビ、雑誌、コマーシャルなどのマスメディアで ユニークな視点から各種料理を紹介し続けている。 著書は「PASTA パスタ」、「快楽的男の食卓」、「男子厨房に愉しむ」、「世界朝食紀行」、 「こんなにおいしいサラダ」、「イタリア半島食の彷徨」「唐辛子料理」 「にんにく料理」「ガツ旨 こんな豚肉料理あったのか!!」など60数冊。 サンデー毎日「アサヒビール対談」81回連載。1999年共同通信社「たべ物地球塾」を連載。 富士フィルムカレンダー撮影20数年間継続。現在は、日本経済新聞で「フードは語る」を連載。 TBSハイビジョン「芸術家の食卓」NHK「ジャンコクトーへの旅」「おしゃれ工房・暮らしを撮る」 「金曜アクセスライン」等に出演、また一年間キャスターとしてNHK「男の食彩」に、 テレビ東京「食の風景」ではナビゲーターとしてレギュラー出演。


西:西川  鈴:鈴木   T:カメラのT



鈴・西 じゃあ、カンペーイ!
西   中国じゃあさ(中国から戻ったばかり)、毎ンち何十回も
    カンペーイをやってたよ。
鈴   何しに行ってたんですか?
西   来年、あ、今年か,出す本の。料理の。
    写真3000点くらい撮らなきゃだからさ。
    (スズキお手製あじの押し寿司を見て)アコちゃん、
    なに、料理好きなの?
鈴   ん、自分の食べたい時だけ作る。いい時はいいんだけど。
西   ダメなときはダメ?ま、食べてみないと分からないけど、
    見た目はうまそう。どれ・・。
鈴   ちょっと寿司は甘かったかも。甘い,って、
    甘味じゃなくて酢がうすい。ズ−(花粉で鼻ススル)
西   うん、そうだな。ちょっとな。酢で洗うくらいじゃないと。
     でもおいしいよ。
鈴   料理の本は何冊出るんですか?今年。
西   8冊くらい予定してるよ。毎月10日くらいづつ中国行かなきゃ。
    (寿司を指差し)これ、アジ?
鈴   そう、アジ。一応自分でおろしたの。好きなんだよね,
    グジャって触るのが。
西   へえ、なに、静岡じゃ祭りとかでやっぱり魚?
鈴   うん。でもねえ、あれは鯛だから女子供にはちょっと難しい。
    生きてるし。
西   だいたいそういうもんだよな。バリなんかでも祭りじゃあ
    男が料理するんだよ、不思議なもんだねえ。
    ブタの丸焼きとかさ。力仕事なんだよ、料理は。
    (20m位向こうからギター弾語りの歌。
    反対側から太鼓が聞こえる。)
    やあ、いいもんだね、こうやって外で。
鈴   BGM付きでね。
西   オレはねえ、最初アコちゃんに会った時、
    すげえふてくされた女だなアと思ったんだよ(笑)
    あれ、子供と同じなんだよ。
鈴   (笑)
西   で、あのときCDもらったじゃん。で、最初にあれ、
    歌詞カード読んで。CDかける機械がなかったから。
    ものすごくよくわかったわけ、ふてくされてる訳が(笑)。
鈴   それは・・すごいホメ言葉だねえ!(笑)
西   でさあ、これは間違ってるかもだけど、恋愛でもなんでもさあ、
    アコちゃんの場合、なんか『どうでもいいやあ』みたいなのが、
    詩のなかにもあったけど。ふてくされが(笑)。
鈴   うん。それはいつもそうだなあ。子供の頃からずっと。
    いろいろいつも凄いんだけど(?)でもどっか根っこで
    『どうでもいいやあ』って思ってるんだね(笑)。
西   うん,そうだろう?(笑)オレもそうでさあ,
    フラれようと死のうと、まあ最後はどっちでもいいや、
    って思ってるんだよね。(笑)
鈴   詩を書いてるときはねえ、う〜ん、何だろ、
    断片断片はすごく正直なんだけど,
    どこに向かって自分は書いてるのかはわからないなあ。
    何に宛てて書いているのか。
    で、そのわかんないカンジが好きで。
西   オレだってそうだよ、そんなのオレだってわかんねえよ。
鈴   で、わかんなくなりたくてそれをやってるようなところがね。
    ある。ズー。
西   そうそう、オレはね、文章書くにも何にも、結論はない。
    この頃さ、多いじゃん、なんていうの、
    人生のハウツーものみたいな本とか。オレはああいうのは
    絶対ダメだね。わかるわけないんだよ、そんな簡単に。
鈴   西川さんの絵にも、『なんだかわかんないもの』が
    いっぱいあっていいね。
西   それをさあ、セミナーとか行っちゃったら、退屈だよなあ、
    人生。
鈴   人って『何である、まるっ。』ていうのを決めて、
    安心したいってところがあるんだろうね。
    だから流行るんだろうね。
    私もね、小さな波としてはその時その時の
    『これは何である。』っていうのは出してくんだけど、
    大きなところで、基本が、根っこが『どうでもいいし、
    何でもない。』っていうのがあるんだよね(笑)。
西   そう、で、詩を読んで、彼女は絶対的にふてくされだな、
    って思ったんだよ。 (笑)



鈴   生まれは?
西   和歌山。和歌山の材木屋の息子でさ。
鈴   材木ですか!(笑)へえ、ザイモクー。
    和歌山はねえ、こう云っちゃナンですけど、ライブで行った中で
    不思議な土地ナンバーワンですよ。
西   そうだろ〜?和歌山はねえ、魚があんなにあるのに、
    なぜか牛肉の消費がすごいんだよ。高校生の頃なんか、
    みんなで集まってすき焼き食って、酒飲んだりしてさ(笑)。
鈴   えー、高校生が?すき焼き?やだなあ(笑)。
西   そうだよ〜。東京出て来てみんなすき焼き食わないから
    ヘンだなあ、って思って。
鈴   和歌山って、屠殺場がいっぱいあったりするんですか?
西   いやどうだか。静岡なんかも似てるだろ?気候が。
鈴   そう。特産物が似てるところはねえ、似てるんですよ、
    メンタリティも。静岡、和歌山、宮崎。
    自然環境がすごい豊かで。
西   ちょっとノータリンが多いね?
鈴   そう。ふふふふふ。
    アットウテキに、それは思いますね(爆笑)、
    アタシが言えたもんじゃないけど。アタシ、
    最初に和歌山に行った時にねえ、ナンダコレハ、
    と思いましたよ。(笑)
西   でもノリはいいだろ?
鈴   いや・・(笑)。関係者はがんばってくれたんだけど
    5人くらいしかお客さんいなくてねえ。
    結構スペースは広々してるから余計にサビシ〜い感じ。
    何やっても何云ってもみんな石のようで(笑)。
    でもそうなると逆に面白くなってきちゃってアタシとしては
    カタルシスはあったんだけど。
    開演も1時間半くらい押しちゃって(笑)。
西   南国だからなア。衝撃的なデビューだったねえ(笑)。
鈴   なんかそうなるとしつこく行きたくなっちゃって。
    結構その後も行ってますね。よくしたもので
    一人私の歌を大事にしてくれる人がいるから、
    この人がいる限り行こう、って。
    で,だんだんいい感じになりつつはあるけど。
    こないだははじめて和歌山の人が、ああ、なんだ、一緒ジャン、
    てはじめてわかって楽しかった。
西   ああいう歌を聴いたことがないんじゃない?まず。
鈴   うん、そうかも知れないですね。
    いわゆるジャンルがはっきりしたものはいいけど
    『これは何です』っていうのがないととっかかりにくいから。
西   だってびっくりするよ。ふてくされてるから。
鈴・西 (笑)
鈴   うふふ、なかなかね、
    『個』と『個』っていうところまで行くのには
    時間かかりますね。でもこないだはアンケ−トなんかも
    びっちり濃く書いてくれてあって、来て良かった、
    って思いましたよ。


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