<06>春の雑感
- 2003.04.25
- column
水ぬるむ春、とは云ったものだ。
北国でもない、鉄筋コンクリートの気密性高い集合住宅に住む私さえ、つい少し前にそう感じてしみじみした。
・・・と思ったら、もう冷蔵庫にしまわなかった食べ物が、あっという間に腐るようになった。知らない間に桜も咲き始めていた。
毎年、桜が咲き始めると、なにか、喪失感、焦燥感のようなものが湧いてくる。子供の頃からそうだ。まあ、いいか、そういうココロのヒダヒダの話は。
終末論(呼び名はいろいろあると思いますが)を信じる人たちは、いよいよ避難の準備をしているらしい。なんでも西暦は4年ずれていて、今は2003マイナス 4、つまり1999年なのだ、という説があるようだ。
地震はいつきてもおかしくない、と云うし、戦争はやってるし、まあ、いろいろある。個人で核シェルターを買う人たちも増えているらしい。そんなことをテレビで云っていた。
核シェルターかァ。
スタジオにできるな。グランドピアノを置いて(なんでもテレビで見たやつは、ソファセットとかカラオケまで備えていた)、昼夜問わず音出したい放題。高いスタジオを借りなくて済む。ミサイルが飛んできてもへっちゃらで弾語り。
今、ここで終末が来たらどうだろう。
私は有り金はたいてつくったCDのことを忘れてあの世へいけるだろうか?人に金を返さないまま死ねるだろうか?今予定の入ってるライブの前に?
怖いなァ、何千メートルもある津波に飲まれたりなんて。焼津のダイアモンドプールの大(プール)すら怖かったのに。
死ぬ唄ばっかり唄っているけど死にたいわけではない。
怖いなァ、何千メートルもある津波にのって、私のCDの在庫達が流出し地球をかけめぐるなんて。ワタクシという小さな女のささやかな生きた証が!
私は一応テレビはあんまり見ない(ということになっている)が、きのう、誰だかお笑いの男の人が、ゴミ御殿の老婆の家を、ひと月一緒に暮らしながら片付ける、という番組をやっていた。なんでも、つらい過去が原因で、何しろ40年だかゴミを一度も捨てたことなく、4年も風呂に入っていなかったらしい。身なりもなりふりかまわず。それが、彼のおかげでみるみる老婆が前向きになっていった。不覚にも涙ぐんでしまった。
今日はフィギュアスケートをみて、また、気付くと涙ぐんでいた。
困った。誰かに『はい、感動!』と云われたら即座に涙ぐめそうになってきた。おばさんというやつだな。いわゆる。
昼間は、「マーボなす」のようなものを作っていたら、トルコの友人が国から電話をかけてよこして、『アメリカの大学院に行くことになったよ、ヒャーッ!!』と悦んでいた。(テロ後の)国の状態は、なんら危険なく、『全然安全だよ。』ということだった。もっとも遠くの友といきなりその話題も、と思い、その程度にとどめた。
互いのつたない英語のせいで、同じセリフを双方、早いのとゆっくりのと2回づつ云わねばならず、そのうち気まずくなって、『じゃあ、まあ、元気でねっ!』と彼はしめくくった。
『日本の全ての人の幸せを祈る』とのことだ。
『云っとくよ。』と電話を切ったので、皆にお伝え致します。
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