suzukiaki

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<19>小物に埋もれて

  • 2003.12.18

部屋を見渡す。 何やかや、モノがたくさんある。このせまい住処に、モノはどんどんやってくる。 もちろん必要なもの、縁有るものたちではあるが、そのせいで肝心なものがいざと云う時見つからない。探すと部屋が荒れ、大量のホコリが出、機材にかかるといけないと、気を使う。そいつらのせいで、より部屋がせまくなり、当の本人(家賃を払っている本人が!)が床で柔軟体操するにも遠慮がちである。 因にライブ会場でのアンケー […]

<18>向島奇譚 その2

  • 2003.12.14

日曜日、Sさんとまた向島へ行った。 7月にたまたま向島を歩いていて、昔は飲み屋だった民家の玄関を覘いたところ、お茶でも飲んで行けと云われ、その後5時間も二人で酒をごちそうになり、昼寝までして帰ってきたことがあったが、その『向島のお母さん』のところへ、再び行ってみたのだった。 あれ以来、Sさんと私は会えばいつも向島の話ばかりしていた。そのうち、なにか小さなプレゼントをしよう、と計画していた。少し寒く […]

<17>ノーブルタン伯爵

  • 2003.12.03

今日、私の舌に名前をつけた。『ノーブルタン伯爵』。 もうすぐ更新する対談のテープおこしをしていて、いつものことながら私のしゃべりのかつ舌の悪さ、主語と述語の不明確さ、さらにお酒が入ってくるとすべてが不明瞭この上なく、頭の悪そうなこと千万、ああもうこれ以上自分のしゃべるを聞きたくない、と中断した。 ゲストは素晴しい声の、歌い手でもあるし、声優やラジオ番組にも抜擢されるような人である(もうじきのお楽し […]

<16>冬のはじまり

  • 2003.11.14

先日、ひさしぶりに『ずる休み』をした。最後にしたのは高校生の頃だったように思う。 私は学校が嫌いで、毎日通わなければならないのが本当に苦痛だった。いっそ、わかりやすいグレ方でもしていたら、もう少し教育者達にも可愛がっていただけたかもしれないが、いわゆる『かまいたくなる不良』という風ではなかった。 なんだかわからないが、厭世感をいつもまといつつ、それでいてなんだか笑っちゃうなあ、という気分で生きてい […]

<15>私の食卓

  • 2003.10.05

最近わけあって粗・菜食にしている。 自宅で時間があれば、ちゃんと下ごしらえして食事を作っている。 今日はふきがスーパーでおいしそうだったので、板ずりし、ゆがき、皮を剥き、美しい緑色になったふきを、しっかりとった薄いお出汁で煮てみた。私が板前になったら、月に何日かはけっこう美味しく作れると思う。 ただ、毎日きちんとやり続ける、ってのができないだよね。何も板前業でなくたって、主婦業でも。 それに菜食と […]

<14>美保純のこと

  • 2003.09.14

自分の好きなものについて、この場にあれこれと羅列するのは気が引けるので、いつも少し遠慮している。だけど私にも音楽はもちろん映画や本などに関して、長年の内にできた好みがある。たまには微々たる力でも、価値の提示のようなことを別な所からもしていかないと、果ては私のささやかな表現活動にも影響し、生きてるうちに果たせないことがさらに増えそうだから、これからちょっとは書いて行こう、と思うようになった。 テレビ […]

<13>私的正月

  • 2003.08.15

2003年の祭も終わった。祭から祭までを一年と勘定する私にとって、今は正月である。 世界よ、明けましておめでとう。 正月は(以下、私的正月、と呼んで区別する)寂しさと共にやってくる。よく私の歌を聴いてると飲みたくなると云われるけれど(以前、人に応募されて出たコンテストで、『ヘンなコメントですが酒が飲みたくなりました』と云った審査員がいた。それでグランプリをもらった。その審査員、誰だったか忘れちゃっ […]

<12>真夏の一日

  • 2003.08.10

朝早く起きて江ノ島へ行った。 やきはまぐりとビールをしに、ではなく、水族館で唄いに。 『歌う』という大義名分があると、安心して出かけられる。そうでないときは、ちょっと後ろめたさもあって。そのカンジもまたいいんだけど。 片瀬江ノ島駅を降りると、ヒトが渋滞していた。 朝10時というのに。『がんぐろ』の女子達が、なんだここにいたのか!というほどたくさんいた。肌だらけ。人類は『口説き口説かれる』ことしか考 […]

<11>向島奇譚

  • 2003.07.01

先日、例によってライブの後、終電をのがし、帰宅できなかった。そういう時えてして、たやすく異界空間に入り込みやすく、2、3日その状態をひきずるものだ。 結局知人宅にて仮眠はしたものの、その後あっさり帰宅するのも、別に誰にとがめられるわけでもないのにバツがわるく、知人S氏をとにかく亀戸へ行こう、とお誘いした。S氏はワケも聞かずに(そも、ワケがないのだが)、行こう、と答え、我々はわざわざダイダイ色の列車 […]

<10>膝小僧とおでんの匂い

  • 2003.06.14

子供の頃、よくふっと港や川へ行って、神妙な顔してひざをかかえて座っていた。 ぼうっと座っていると、ふと、自分の膝小僧からなにか、うんと日に干したふとんのような匂いがかすかに立ち昇ってきて、その度、恍惚となったのを覚えている。しかられたりして涙が落ちたりすると、余計に匂った。 学校でも『体育座り』というのを教えられ、朝礼とか退屈な話なんかの時に、膝小僧臭を味わうのは恰好のしのぎになった。 今、200 […]

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