column

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<68>雨の日の思い出

  • 2011.12.03

セルバンテス(ドン・キホーテの作者)ってひとは、子供のころからすごい読書家で、道に紙切れが落っこちていても、拾って読んだらしい。 わたしもかつて、電車の中で紙切れを拾って読んだことがある。 ちょうど今日のような雨の日、そのころ住んでいたアパートに帰る途中、競輪場へ向かう人たちが、往きに復りにと、さんざん一日乗り降りした電車の、雨で濡れた泥のこすれた床の上に、名刺より少し大きいくらいの厚紙が落ちてい […]

<67>夏も終わる

  • 2011.08.20

8月は、よく遊んだ。 予定だと今、さらに伊豆へ遊びに行っているハズだったが、事情でヤメになった。でももう十分遊んだから、ヤメになったくらいでちょうどいいか、と思いつつ、これを書いている。 8月は、ホントによく遊んだ。 京都の『ふちがみとふなと』(ワタシは以前それを、『ふちがみと』という姓に『ふなと』という名の、ひとりの人だと思っていた)と、小さな車に、ウッドベースと人間3人と旅荷物を積んで、3連チ […]

<66>うらばなし

  • 2011.07.14

4月、震災の自粛モードたけなわの頃。 一年もまえから日程を押さえられていた仕事が、ひとつとんだ。主催者は故郷しぞーかけんの、おそらくは半オフィシャルな、ある団体。しぞーかけんは、もちろん被災地ではない。富士川の向こうの、新幹線の駅が5つもある、のんびりした海辺のとあるけんです。 およそ一年の間、担当者の人とやりとりしてきた訳だが、電話のあとに必ずその内容を書面にしたものを郵送してくださるという、念 […]

<65>風のいろいろ

  • 2011.07.07

このごろ、風が怖い。気のせいか、強風の日がとても多いと思うのだけど。 強風だからって、窓を閉めてしまえば暑いから、仕方なく窓を開ける。すると網戸ごしに、砂のジャリジャリまざった風が、凄い勢いで入り込む。床がザラザラする。カーテンは猛り狂ったように踊る。懸案事項としてまとめてあった書類や手紙が部屋中を舞いだし、それを拾って歩く。まとめて上に重しのようなものを置いておくと、重しごと、また吹き飛ばされる […]

<64>壁から生ジラス

  • 2011.06.27

夢の中でワタシは、18才まで実際に住んでいた実家によく似た家に、住んでいた。 庭の松の木の下に、いつもライオンの子供が一頭ひる寝をしており、それをワタシは毎日(という夢の中の時間かんかく)なにげなく眺めていたが、ある日(という夢の中の時間かんかく)、そういえば普通の家でライオン飼っていいのだろうか?と考え出す。保健所に届けなければいけないんじゃないか?許可証をとるとか、予防接種をしなきゃいけないん […]

<63>羽二重のおんな

  • 2011.04.23

ワタシは、嫌いなモノが意外と少ない。その少ないモノに何があるかというと、蚊とタバコ、そして美容院です。 このあいだ、久しぶりに美容院に行って、やはりヤダと実感した。何をどうやってもどうにもならない髪型になってしまった。なにしろ扱いにくい髪なのだ。 美容院というところは、長く座っていなければならず、メガネがかけられないから本も読めない。裸眼で読めていた頃はその頃で、何の本か?と聞かれて困った。べつに […]

<62>黒はんぺんサンド

  • 2011.03.23

古くからの貴重なワタクシのフアンのOさんが、仙台に転勤になるということで、近所のNさん宅で(歩いて2分!)送別会の予定になっていた。が、それは地震の影響で、送別会ではなく、普通の飲み会になった。Oさんの転勤は確実ではあるけれど、延期になったそうである。 3月はじめ、わたしは、敬愛する二人のミュージシャンを連れ、焼津の実家に帰った。そのとき買ってきた山徳(という、まあ、ブランド)の黒はんぺんを冷凍し […]

<61>ワタクシの偉業

  • 2011.01.06

尊敬すべきひとは、世界にたくさんいるものだ。身近な知り合いに大学のセンセイが何人かいるが、やっぱり教授ってすごいなと思う。話しているとなにかの折りに、ピッタリくるたとえ話がよどみなく、または、あらゆる知識がずらずらと芋づるのように出て来たりする。そしてたとえばスペイン語をさらに完璧にするため、アラビア語やラテン語を習得するなどという、とんでもないことをやっていたりする。 老いてなお、あくなき探求心 […]

<60>未練のタナゴ

  • 2010.11.15

月2回ほど池袋にゆく。 たまに帰り道、ある観賞魚屋をのぞく。いつも、ひととおりながめては、ふらりと出る。 思えば、過去そこで何度もタナゴに会っているのに、なんでこのあいだわざわざ愛知の道の駅でタナゴを衝動買いしたんだろな?と、二日まえ、池袋を歩きながら考えた。そして理由がわかった。 道の駅では、タナゴが500mlのペットボトルに入れて売られていたからだ。さんざん使ったペットボトル。キャップの色もさ […]

<59>ひと夜のタナゴ

  • 2010.11.04

いま、旅から帰ってきた。 この頃は、ただただ景色を見に行くような旅をしていない。7,8年前までは、お金はなくても気楽で、時間もあって、よくふらりとどこかへ出かけた。社会人なのにこんなことしてていいのかなと、どこか後ろめたい感じをひきずりながら、未来の想像にふける旅が、なかなか好きだった。 この頃は、さすがにそんなゆとりはない。歌いにゆく、とか、CDを行く先で買っていただきたい、など、具体的目的をも […]

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