column

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<58>いい空気

  • 2010.10.02

夏はいつまで続くのかと問いつつ、気を失いかけていた。が、さすがに涼しくなった。肌寒いって、すてきなことね。 涼しいと、なにかを思い出す。なんか懐かしい感じがするんだけど、何だっけな?・・・と思ったら。 2006年は怒濤の一年だった。 ブエノスアイレスに住む偉大な歌手リリアナ・エレーロの、歴史に残る(残るのです)初来日をしかけた以上、成功させなくちゃ、と思って、一年をそれについやした。寝なかったし、 […]

<57>メル・ギブソンのフンドシ

  • 2010.09.06

映画『PASSION』を見た。2004年、メル・ギブソン監督。 2004年と云えば、私はある歌手のライブを見たくて、鼻血を出しながらアルゼンチンへ行った年だ。そんな頃、この人はこんなものを作っていたのかと、見終わって私はしばし気が遠くなった。 コトバ(スペイン語)をやっているとどうしても、キリスト教徒であるってどういうことか、考える。考えたって、わかるわけないので、考えるというよりは『アタシがキリ […]

<56>旅ノオト

  • 2010.05.21

昨夜、台湾から帰ってきた。どんな旅だったかを詳しく書くと、自慢ばかりになってしまい、読む人が腹立たしいだろうから、書かない。ただひと言で云うと、生きてるといいこともあるもんだなホントに、と思った。 いつも旅に出るとき、ポケットに入るくらいの、80円くらいのノオトをもってゆく。ここ数年しぜんとそうしている。便名や数人の連絡先、出会った人の名前、特徴、泊まったホテルなどをメモっておく。 以前はそんなも […]

<55> 仙人仙女

  • 2010.04.20

つい先日、Nさんと10年ぶりに会った。 イベントの帰りで、お互い終電を気にしつつ、しょんべん横丁に入った。 Nさんとは、ちゃんと勘定してみると出会って18年になるが、60年くらい知っ ているような気がする。もちろん、それだと計算は合わない。 そのNさんに、この10年を(時間がないから)ふた言くらいで云え、といわれ たので、『相変わらず、大きいものは怖くないが、小さいものが怖いです、たとえば管理 費 […]

<54>春の家庭訪問

  • 2010.04.15

千葉の田園、新芽のまぶしい土気(とけ)町のNAJA(ナジャ)での写真展に、無事搬入できた。土の気と書くだけあって、本当に足下から芽が出そうな気分になる場所だ、特にこの時期。17日にまた歌いに行く。それまでホッとひと息。 放っておくと、どんどん人とご無沙汰してしまうたちなので、こういう機会に旧交・新交あたためようと、家庭訪問をはじめる。年明けからずうっと風呂場にこもって写真を焼いていて、人と喋ってい […]

<53>オリンピックのこと

  • 2010.02.21

トリノオリンピックのふたシーズン前、荒川静香さんが金メダルを取る、とオツゲを受けた。スランプ時期でもあり、解説者たちを含め、世の中は他の選手に注目していたけれど、私は彼女が金メダルだと信じていた。なので、まわりのみんなに荒川、荒川、と力説していた。そうして、オリンピックで見事金メダルを取ったとき、そのみんなから『アキちゃん、おめでとう』と云ってもらった。狭い家でひとり、狂喜乱舞した。 あれから4年 […]

<52>ムンプス陽性

  • 2010.02.03

2010年の初ライブは、以前もお邪魔したことのある、群馬のおいしい日本酒の造り酒屋においてだった。 本番の2、3時間前から、なんだか骨や皮がゾクゾクし、気がつけば発熱していた。いつもなら、ちょっと熱があると『弾きながら歌う』なんてヘロヘロだが、なぜだかライブはちゃんとやれた。38度以上あったはずなのに、歌えたのが不思議だった。 翌日は藤沢の小さなバーでライブで、やっぱり骨と皮がゾクゾクしていたが、 […]

<51>『クローゼットの中に棚を造ってとりつける計画』

  • 2009.12.02

去年の冬、ちょうど今ごろ、簡易防音工事をした。 そのときの大工のお兄さんが、AMラジオを小さくかけながら黙々と作業をしているのを見て、口には出さなかったが甚(いた)く幸せな気分だった。格好良いと思った。 きちんと寸法を測り、シュッと印をつけ、スパッと道具を使って、カランと乾いた音を立ててきれいに切断されて落っこちた破片など見ていると、小気味よかった。 工事の間、信用してお兄さんらに鍵を預け、私は’ […]

<50>しら玉 ー小泉八雲墓参り

  • 2009.10.22

旅も終わってひと段落したところで、ふっと時間ができたので、好きな男の墓参りに行った。…なんて、言い方をしてみるが、その男は明治のうちに死んでいる。 男は外国の生まれで、日本人女性と結婚し、日本人となった。4才のとき故郷を離れ、死ぬまで一度も、結局、クニへ帰らず日本で死んだ。そのことを悔やんでいたかどうか知らないが、勝手に私はこの8月、男の故郷なる島へひとり行ってみたのだ。そして海辺でー不思議なこと […]

<49>わけはない

  • 2009.09.12

自分の老化を話題にすると、若者はたいてい『そんなことないよ、まだ大丈夫だよ』と云う。私の発言をマイナス思考と捉えるらしい。つまり、拒否する。 いっぽう、先輩方はほとんど『お。君もそろそろですか、それはそれは』と微笑んだり、『そうだよ、だから自分のペースをお知りなさい。あ、それから次は ○○へ来るからね』などと云って、拒否しない。 意外だった。 年長者は目下の者がそんなこと云うと、そんな淋しいことを […]

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