風ないス対談1 vs 柴草玲 (musician)

風ないス対談1 vs 柴草玲 (musician)

鈴木亜紀 vs 柴草玲

レ:柴草玲 ス:鈴木亜紀 カ:カメラの杉本文)
2011年7月30日郊外のとあるそば屋にて

柴草玲:シンガー・ソングライター。
1992年女性だけによるサルサバンド「チカブーン」にキーボーディストとして参加。
1995年脱退後、大江千里、松山千春などのツアーサポートをするかたわら、『強く儚い者たち』『樹海の糸』(Cocco)エメラルド海岸(松田聖子)など、楽曲提供も行う。 1999年からは本格的な弾き語り活動に入り、2001年ミニアルバム『あじさい』でデビュー。以来、精力的かつマイペースな音楽活動を続けている。ピアノ、カシオトーン、アコーディオンなども使いつつ、繊細で大胆な、独特の歌世界を展開している。鈴木亜紀とは、数年前からときどき『女のナカユビ』シリーズライブを行っている。

ス:えっとォー、(注文)どうしようかな、厚焼き卵とか?
レ:ああ、いいですねェ。ここ、近いけどちょっと遠出したみたいな気分になるね。
ス:夏はコレですね。竹やぶ見ながらビール。
レ:コレですね。
(玲さん、ご当地ビールの栓をひねってあける)
ス:あ、今日すごい、力づよい柴草玲!
ス、レ:カンパーイ!
レ:おいしい。・・・うまいッスねえ。

 

ス:いいね、蚊取り線香の匂い。アタシいっつも、中学、高校って、制服から蚊取り線香のにおいがしてる子だった。
レ:最近ね、昔ながらの蚊屋が欲しくってさ。ネットとかで探してるんだけどわりと高級な世界で。
吊るところの飾りがひょうたんの形してたりして、けっこうイイ値段してるんだよね。2万くらい。
ス:この対談企画ってさ、普段その人がMCで言わないようなこととか、別にオフレコ話ってわけじゃないけど、普段特には話さないようなことを、話すってことにしてるんだけど。
たとえば、結婚してて子供もいて、別にそれを秘密にしてるわけでもないけどあえて話題にはしない、
みたいな人に、普段どういうお父さんなのか、とかさ。質問するんだけどさ。
レ:うん。
ス:なんか、玲さんの場合、・・何かについて質問しようって気にならないんだよね(笑)
レ:あははは!それは・・・ええと・・・それはどういう意味でしょう(笑)
ス:(笑)なんか、うっかり聞いちゃうと、ぜんぶオフレコ話になっちゃって
書けないことばっかだから!
レ:なんでも聞いて下さいよ(笑)。
ス:(笑)
レ:でも、普段地味だからさ。そんな面白い話ないんだけど。
ス:そういえばもっきりや(金沢のライブハウス)の平賀さんだっけ。ナカユビのこと『この二人は普段すごい地味』って書いてたね。
レ:書いてたね。

 

カ:え、ハデってどういうこと?
レ:たとえば、楽屋でもステージでも常にテンション変わらない人っているじゃん。
カ:ずーっとハイテンションみたいな人?
ス:あ、でも楽屋でもステージでも常に低いって意味では、アタシも『変わらない人』かも(笑)
レ:あー(笑)アタシも、テンションの低さは、自信ある!
前さ、別のグループとそれぞれ演奏して最後に一緒に一曲ってのがあって。
そのグループはすごいハイテンションでイエーイみたいな人たちなんだけど、最後に呼ばれたから出てって、ぼーっとピアノに座ったんだけど、『上げましょうよ、上げて行こうよ、テンション!』て云われちゃって(笑)
ス:あはははは!
レ:うるさいよ、ほっといてくれ、って(笑)。テンション高いのがいいことだと思ってるだろって(笑)。見た目だけで判断すんな、みたいな。会場ひとつになろうみたいなの、すごい・・・
(トツトツと)ヤダよね(笑)
ス:うん、ポツポツ盛り上がるっていうのも、あるからね。なにもイエーイみたいなのばっかりが盛り上がる、じゃないからね。
レ:うん。
ス:それをやってんのにさ、まるでこっちが下がってる、みたいな決めつけ方がね(笑)
レ:そう、わかりやすい盛り上がり方が良し、みたいなのがあるからさ。
ス:そう。それはねえ、戦後のねえ・・・
レ、カ:戦後!
ス:戦後の・・・ビョーキだよ。

 

 

レ:でたまに無理にそういう盛り上がり方してみるとさ、今日は盛り上がったねとか、云われるよね。
ス:ああ、あるある。でもちょっと心のどっかにモヤモヤが残るんだけどね。本人には。
レ:人の受けとりかたって、違うからねえ。

レ:なんかさ、こういうとこでやってみたい、とかってある?おっきいとことかさ。
ス:あたし?こないだ代々木体育館で人のライブ見て。アタシがやるんだったらこうするなあ、とか考えてて。それをウッカリ人に云ったら『えー、そんな野心あったのー?』なんて笑われた(笑)
レ:あ、ある?
ス:いや、野心じゃないんだよねえ。例えば今ここで(そば屋の中を指さして)その人が歌ってたとしても、自分がやるならこういう風にピアノを置いて、とか考えるなあ。
:ああ、そうだね、人のライブって、純粋に楽しむというより、つい自分に置き換えて考えちゃうよね。
ス:そうそう、まあ、それが純粋に楽しむってことでもあるんだけどさ、こうなったら。
レ:うんうん。昔さ、スタッフがいたときがあったの。そのときに、将来どうなりたいか、展望を云って欲しい、って云われたの。でもないんだよ、アタシ。一切、そういうの。
ス:あ、わかる~!アタシも!

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