偏西風対談1 with 浜田真理子さん

偏西風対談1 with 浜田真理子さん

対談日:2020年6月29日

ゲスト:浜田真理子シンガーソングライター。島根県出雲市生まれ。松江市在住。1998年暮れに1stアルバム「Mariko」をリリース。2018年は20周年記念イヤー。6月には久保田麻琴プロデュースで7thアルバム「Next Teardrop」11月には日本コロムビアから昭和歌謡の「Lounge Roses」をリリース。2019年11月自身が立ち上げたレーベルCamellia Recordsより5年ぶりのライブ盤「MARIKO HAMADA LIVE 2017・2019」vol.1、2020年2月にvol.2をリリース。

鈴木亜紀は2度ほど浜田さんのライブをクラブクアトロ、青山円形劇場で拝見し、2,3度ご挨拶した程度でしたが、いつぞやまだZimagineが外苑前にあったころ、『ひとりごと芸術』を浜田さんがフラッと見に来てくださってビックリ。帰りがけに、『こんど飲みたいです』と願い出て、早4年。松江にて叶いました。ふだんの対談は『野外で・鈴木の手料理と・飲みながら』が原則ですが、遠隔地にてレア編、真理子さんチョイスの松江にある歴史館のカフェにて。

 

A:鈴木亜紀
M:浜田真理子
:カメラのTさん

A:『ここカフェ? うわぁ~いい処~~』 

M:『(再会に)4年、5年は経ってる?』

A:『そうですねぇ。そうかもしれない』

(和菓子とお茶のセットが来る ) 

A・M:『いただきま~す』

M:『松江、初めて?』

A:『初めてで、もう感激です。おとというどん屋(でライブ)やって。そこからきのう、石見銀山に行ったんですよ。ずっと行きたかったから。銀山のあの界隈に一泊して。感激して…』

M:『あっ、感激。す…する?(笑)』

A:『もう、すンごく(笑)。』

M:『え?これ?…っていうふうにならんかった?』

A:『(人は)なるのかなぁ(笑)アタシはねェ、「これこれそうそう!」になった。』

M:『(笑)あの銀山で働く人たちが体を休めるための温泉があって。温泉津(ゆのつ)温泉ていうんだけど。あそこはよく行く。』

A:『そこ、通ってきました。』

M:『いいお湯で海もあるから。あそこはちょっと面白いとこですよ。』

A:『へえ、今回お湯は入れなかったんですけどねえ。いや私、銀が好きで。』

M:『銀…(やや笑)』

A:『そう、銀山で旅館に一泊したんですよ。鉱山の技術的なこととか、展示も面白くって。いやぁもう島根、ホレました。』

M:『うわあ、それは嬉しい!おめでとう。初出雲!初松江!』

A:『えとね、松江は初めてだけど、出雲は10年以上前に行って。で私、旅のあと「さくらえび通信」ていう旅文みたいなものをたまに書いてるんだけど、その時のタイトルが「はずれの旅」だったんですよ。当たり外れ、の…』

AM:『あははは』 

A:『とにかくションボリ帰った記憶が(笑)今回はコロナで人が少なかったのも良かったのかな。』

M:『ま、いつも少ないけどネ。松江は城下町で、武家屋敷なんかがあって、ここ(歴史館のカフェ)は家老屋敷なんだよね、もともとは。ここのこけら落としコンサートを私やったんだ。311のあった年かな。』

A:『へえ!…すごい屋敷だったんだ…(見回す)。』

A:『(自粛中は)どうしてました?』

M:『ええとねぇ…それこそ3月25日のマイラストソングってのを、小泉今日子さん仕切りで東京でやって。満席だったんだけど、終わったらみんなそそくさと帰られて。もうCDとか全然売れない(笑)』

A:『あら。』

M:『で、4月の頭まで東京にいるはずだったんだけど、ロックダウンします、みたいなことになって。そうなったら帰れなくなる、と思って、周りからも「早く出た方がいいよ」みたいな情報が回ってきたりして。飛行機も簡単に変えられたから予定を早めて島根に戻って。そのときはね、島根はまだ感染者ゼロだったの。』

A:『へえ。』

M:『で、感染がゼロのところってすごく厳しいの。帰ってきてからホテルみたいなところに一週間いて。自主隔離しました、ってしないとならなくて。そのあと、一気に仕事なくなっちゃったし、ライブハウスが原因、みたいなことで…。』

A:『うん(うなづく)。』

M:『これ、もう一年くらい多分無理だな、って思って。』

A:『そうですねぇ…。一年ぐらい…かかるかなあ。』

 

M:『で、配信に切り替えて。』

A:『お、どこから配信したんですか?』

M:『松江のお店を使って、蕎麦屋だろうがなんだろうが、鍵盤を家から持って行って。配信用の機材を(仲間と)相談して買ったりして。』

A:『へえ!』

M:『うん。思いついたのが早かったから、一時機材が品薄になったりしたけど、その前に買ってたの。で、投げ銭でやってみようって。ま、いくら集まるかわからんけど、そのお金でお店に会場代とかね、払ったり。あと、カメラの人とか音響の人とかみんな仕事ないから、み~んな雇って。で、月に一回やります!って宣言しちゃったの。』

A:『すごい!!』

M:『今3回、4、5、6(月)とやったんだけど。なんか面白くてね。最初は音がズレたり。先月のやつは、wifiが切れちゃったり。ま、いろんなハプニングありつつ。毎回場所変えてやってるから、面白いかなって。』

A:『ああ、場所変えてね。それはいいですねえ。』

M:『で、だんだん県外に行ってもいい、ってことになって。7月のやつはちょっと、奥出雲まで遠出しようかなあ、と。』

A:『なるほど~。いやあ、本当にいい場所いっぱいありそうですもんね。』

M:『まあ、どういうのがいい場所かってねえ。人によって…(笑)』

A:『たしかに。(笑)』

M:『え、どういうのが好きなんですか?』

A:『あたし?石見銀山(笑)』

M:『(笑)古いところ?』

A:『新しくても好きなところ、ありますけどねえ。銀の出るところと(笑)。あと、水場と。』

M:『あ、やっぱり海の育ちだから?私もそうかな。』

A:『真理子さん、生まれは?』

M:『生まれは出雲。育ちは松江。』

A:『こないだ、大原に行って。』

M:『三千院の?』

A:『そう。で、ちょっと大原、ホレちゃった。将来の住処の候補になっちゃったんですよね。』

M『うん。』

A:『しかし。こっちに来て、あ、こっちかも、って(笑)』

M:『銀山?(笑)』

A:『(笑)』 

M:『なんか、お店やるとか言ってなかった?5年くらい前に?(笑)』

A:『(笑)言ってましたっけ?けっこう私もいいかげんな…。』

M:『なんか、スナックを?買ってくれないか?みたいな…。』

A:『(笑)う~ん、移住してスナックかあ。いいかもなあ。カフェとかは私ちょっと無理そうなんですよ。今すごい素敵なカフェいっぱいあるでしょ?日本中に。』

M:『あるある。』

A:『居心地もいいし、センスもいいし、コーヒーなんかもすごくおいしくて、出すものにちゃんとこだわって、お客さんサバキも勉強してきた人たち?アタフタしない感じ?』

M:『うん(笑)』

A:『せま~いところ(厨房)でもさ、落ち着いて…』

M:『(鈴木を指差し)大パニックっ!!!になっちゃうんでしょ?』

AM:『あはははは!(爆笑)』

A:『なんかもう(笑)、見えない!とか言ってサ。メガネかけ変えたりとかして。』

AM:『あはははは!(爆笑)』

A:『そんなことやってる人、いないから(笑)。それはちょっとできないな、と思って。そうするとやっぱりこう、一杯のアルコールでね、「座」がもつ、みたいな方が、ね。』

M:『…じゃあ…お店やったらいいんじゃない?』

A:『でもね、銀山でちょっと聞いたら、やっぱし、ご近所づきあいにはちょっと心得が要りますよ、って言われた。』

M:『あそう。』

A:『ま、そりゃそうですよね。』

M:『うん。まあ、なんか野菜くれたりね。で、お返ししたり。とにかく、ネットよりニュースが早いから(笑)。』

A:『ああ~。』

M:『おばあちゃん入院したんでしょ?とか。なんで知ってるの?って(笑)。救急車が来てた、とかってね。見てるからみんな。移住してきたら、珍しいから、毎日お客さんが来ると思う!(笑) ま、いなかなんでね。のんびりはしてるなあ。』

A:『(笑)だし、音の苦情とかも大丈夫そうかな。好きなんですけどね、アタシ東京が。』

M:『ああ、ねえ(うなづく)。まあ、ミュージシャン、肩身狭いよね。なんか、何してるかわからない人、みたいな。』

A:『うん。昼間いたりするし。』

M:『あたし、だって、「情熱大陸」が来たときに、カメラの人とか家のところでこうやって(構えて)るのを、「事件」だと思われてたからね!』

一同『(爆笑)』

M:『近所の人が。浜田さんとこ、なんか…。』

A:『あったの?みたいな!ああ~さもありなん、だ(笑)。』

M『ま、音楽作って、たまに出かけて歌って、ていうのは、すごくラク。』

A:『ほう~。』

M『やあ、でも…。(スズキが)移住してきたら楽しいなァ。島根に。配信に、(お宅に)伺うよー、みたいな(笑) そしたらコミューンができるよね(笑)』

A:『コミューン!そしたらほら、スナックもみんなでやれる!私ツアー行くからカウンター入って、とか。』

M『…じゃ、もうけっこう土地探ししてる?。』

A:『う~ん私、あの、恋愛とかはぜんぜんホレっぽくないんですけど(笑)。土地ボレってすごくあって(笑) 銀山ラブ。』

M『あ銀山ラブ?銀山ね。』

A:『あ~でも雪国は自信ない。降るんですよね?こっちも?』

M『(リキ入って)寒いよ~。 4月5月までヒーター使ったりするから。』

A:『ふ~ん!!』

A:『あ、あと島根の人ってみんな運転ゆっくり?』

M『うん。だってそんな早くいく必要ないもん。』

A:『いやなんか、今日(石見銀山から松江に)来る時、ぜんぜん車いないのにさ、すぐ前の人がゆっくりなために…』

M『えっ?車で来たの?』

A:『そうそう。あれ?私メールしましたけど、届いてない?』

M『えっ?』

A:『亜紀さん何でくる?ってメールいただいて、お返事したんですけど。』

M『あっ。それ車って書いてあったっけ?』

A:『そのあと別件でメールいただいて…』

M『それに書いてあったっけ?』

A:『それ ’にも’ 書いたんですけど。(笑)』

M『(笑)ナナメ読みしてるから。それでそれで?』

A:『で、追い抜こうにも(前の人が)なんだかクネクネしてて。』

M『あと、ビミョーな車間距離でしょ?東京とかはみんなメチャ詰めて入られないように走ってるけど、(島根では)5メートル?ぐらい?だから入っていいのかどうなのか…。あと、バイクは手信号のおじさんがいる(笑)。』

A:『手信号!(笑)手信号って言葉、忘れてた(笑)。』

M『かわいい~とか思う(笑) 時間もゆっくりかな~。』

A:『そうそう、今回、尾道あたりからすごい自分がゆっくりな感じになっていって、眠りも深くなってきて。』

M『(うなづきながら)う~ん。』

A:『ああいいな、いいな、と思ってて。で今日ここに余裕で着くはずが、その一台のために、ちょっとギリかも?って感じになってきて。その時、あ、なんかあたし、イライラしてる、と思って(笑) この感じ久しぶり、って。なんでこの素晴らしいところにいてイライラしてるんだろう、と思っておかしかった。』

M『そうだね~。トラクターがいたりするからね(笑)。』

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