<08>つくるヨロコビ
- 2003.05.10
- column
齋藤亮一さん。3RDアルバム『金色の砂』のジャケット写真を撮っていただいた写真家です。
いつも私のコラムは低次元な話が多いようですが、それは仮の姿です。たまには本性で格調高く行ってみようと思います。
齋藤亮一さんを初めて知ったのは、近所の図書館でした。新刊コーナーに置かれていた写真集を何気なく手に取って以来、ファンになりました。
なにかピリっとした緊張感が漂っていて、でも、固い感じがしない、懐広くて自然で、自信みたいなものが静かにみなぎっていて・・・、いや、なんかそんなエラそうなことを云うつもりはないんですが、そういう感じを得たのです。
なにか特別なものと接した気持ちになって、また一方でその懐広さが次のアルバムの目指すものと重なっていて、感激したのです。
はじめて電話をした時には、その声がさらっとした低い響きで、背筋ののびたおじいさんを想像してしまいました(これは褒め言葉かね?)。ほんとは全然おじいさんじゃありませんが。
実際の齋藤亮一さんはどういう印象だったかと云うと、なにかお会いするとお腹が暖かくなります。安心感でしょうか。説明しなくても分かってもらえるかのような。実際、私の活動についてお話したら、1の話で10伝わったような、そんな感触を受けて、これは天の愛だ、などと思ってしまった。
そして、また素晴らしいのが、齋藤さんが紹介してくださった、デザイナーの、いつも冗談を小声で云っている高崎さん(フツウの話はフツウの声量)。
うちわの(お金や業界の)話に繋がっちゃうので、あんまり詳しくは書きませんけど、世の中、何かを作ろうと思ったら、『おいおい!』という出会いもあって、そのたびに、『どんなに売れなかろーがビンボーだろーが、こっちにはつくるヨロコビがあるわい』、と思う一方『この人たちのやることに(弁はたつが)こんなにも誠意も愛情もないのは、そのヨロコビがないからにちがいない』、との確信を深めることが多いです。
それが、そんな世の中に、こんな人がいたんだ!!
と、ほんとうにお二人のことを思い出すと感動してしまう。
もうひとり、ジャケット部隊で活躍してくださった、スタイリストみどりさん。
この方がスタイリストとは全く知らなかったです。家に遊びに行ったこともあるのに。
よくライブに来て下さっていて、この人がいると、にぎやかなので、あ、来てるな、ってすぐにわかります。で、たくさん飲んで、ゲラゲラ笑って帰っていきます。
せっかく齋藤さんに写真をとってもらうのに、何を着ればいいかなあ、と考えていたら、知人が、みどりさんに相談してみれば、唄も知ってるわけだし、というので、え、そうだったの!?、と、早速電話してみたら、二つ返事で相談に乗ってくれました。
撮影は夜、皆でみどりさんの運転する車で4時間、一泊である砂丘へ行きました。
帰りもみどりさん自ら運転してくれました。みどりさんはいつも私の身の上を案じてくれて、どこの誰さんは結婚相手にいいんじゃない?とか、親戚のおばさんみたいです。
みどりさんも私の希望を汲んで素敵なのを探してきてくれて、めいっぱい尽力してくれました。
この3人の方が、いいジャケットつくろうね、と、そういう気持ちで関わって下さったわけです。
でもHP上でこういうことを書くのはちょっと、結婚/妊娠/出産をHPで発表するのが流行ってるのをマネしたみたいで(?)テレくさいです。
それはそうと、私が知っていたその砂丘は午后にしか見たことがありませんでしたが、当日、早朝のその砂丘を見て、あまりの美しさにびっくりしました。別世界です。
朝の空気が特別だとは前から思っていましたが、それを目の当たりにしました。
11月の早朝。うすーいワンピースを着て、裸足の撮影。寒かったなあ。
いいライブができたとき。
いい旅ができたとき。
いい出会いを思う時。
人生、いいこといっぱいあるぞ。
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