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<85>ベリンダとベイルート

  • 2020.08.16

ベイルートの爆発から10日が過ぎた。 こんな大惨事が起きたのは、奇しくも(そして悲しくも)自分の誕生日8月4日だった。 8月5日の朝、起き抜けにこれを知ってすぐ、デンマークのベリンダに連絡を取った。数年ぶりだった。 ベリンダと私は、2017年の11月、旅をするのに最もふさわしい11月、ベイルートの安宿で出会った。初対面のそのとき、ベリンダは全裸だった。巨大な茶褐色の物体が安宿のベッドに横たわってい […]

<84>小泉八雲とわたし

  • 2020.06.15

2020年7月4日、5thフルアルバム『雲と波』発表にちなんで。 ラフカディオ・ハーン。 西洋人にして、とても小柄。 生まれながらに、極度の弱視。 しかも、のちに片目を失明。 16歳、片目と父と母も失くして、お金持ちだったおばあちゃんも死ぬ間際に事業に失敗、すってんてん。 さあ、無一物。そこから何年も世界を渡り歩き、最後に見つけたのがこの日本。 自らに小泉八雲、という名をつけた。 …いつかこのこと […]

<83>かつてない休み

  • 2020.04.06

 初めてもらうメールが、『お世話になっております』から始まることに、違和感を感じてきた。 最初は『お世話してませんよ』と小声でツッコんだくらいだったけど、いつからか、確実に少しイラつくようになっていた。『だから、会ったこともないのに、お世話なんてしてないって』、に。 だいたいこういうのは、このホームページのコンタクトから無差別に送信されてくる、スパムや売り込みで、定型をペーストしてるだけなんだろう […]

<82> 死ぬならここ

  • 2018.11.17

 今年も11月が来た。それも、はや半ば。  11月は不思議な月だ、と毎年思う。自分も世界も、なにか実態が薄くなるような、スキだらけのような、ふっと宙に浮いたような感じを覚える。それでいて、我に返ったみたいに、この宙に浮いた、スキに入り込んだのが本来の時間のような気に、させられる。  気温とか日差しとか、そういうことに関係してるんだろうか。    去年の今日、私はレバノンにいた。 地中海に […]

<81>ああ、生殖

  • 2017.07.18

昼に焼きそばを作った。 ココナツオイルで新鮮な野菜をたくさん炒め、生姜も入れて豪華。豚肉は国産、再解凍じゃない。下味もちゃんとつけた。仕上げにコリアンダーを載せる。ちゃんと作っていい気分。焼きそばの出来上がりにあわせて、なめこのスープを温めて器によそった。 右手に焼きそば、左手にスープを持ってテーブルに運ぼうとしたとき、至近距離の流し周辺にコバエが見えた。それまでのどことなくいい気分がイラっとに変 […]

<80>スピーカーを直す

  • 2017.01.24

愛用していたスピーカー、ONKYO Liverpool D-200II、30歳。このところザラザラという音がしてたが、ついに壊れた。年を経たスピーカーの運命としては、順当な経過らしい。 最近、恥かしながら、多感な頃のように『単に自分のために』音楽を聴く、ということがすっかり減っていて、ライブ活動してるくせに、音楽から遠ざかりつつつあるような気がして、密かにアタシ大丈夫かな、と感じていた。理由は、慢 […]

<79>夜の自習室

  • 2016.12.14

あっという間に2016年も師走。 きのう、11年間と半分(11年と半年、と云えばいいのか!)、ほぼ毎月ライブをしてきた外苑前Zimagineの最後のライブだった。花束やワインをいただいて、帰宅した。うっかり定年退職したお父さんの気分になりかけたけど、いやいや、Zimagineは移転するのであって(どこになるかはまだ公表されてないけど)、私もまだ現役です。 今にして思えばZimagineは、自分のい […]

<78>アラブの本

  • 2015.05.22

この頃読んだ本で面白かったものを、ひとりごとのつもりで書いてみようと思う。 人の作品を、ケナスはもちろんホメルも、そもそも『評価』することにちょっと抵抗があったので、そういうことは人に言ったことが、実はあまりない。 けどそう、ひとりごとのつもりで、書いてみようと思う。 この頃読んだのは、アラブ関係の本ばっかし。 ●小滝透『さらばネフドの嵐 ー イスラームの神とサウジアラビア留学日本人』 (199 […]

<77>トカゲのトリトン

  • 2014.08.30

ツアー中、いろんなものをいただくが、生き物、しかも爬虫類を貰ったのは、今回が初めてだ。 これまで人生、爬虫類と暮らすなんて考えたこともなかったが、そこは旅の空、何が起こるかわからない。『ひと夏のアバンチュール』が起こるのと同じ原理で(たぶん)、ふとメラッときて、『飼っちゃおうかな』と思ってしまったのだ。 この夏、北海道ツアー中、社長(と、とある人を呼んでいる)が、釧路弁でなにかボソボソ喋っていて、 […]

<76>とうもろこしの時間

  • 2014.06.26

昨年、10ヶ月間ほど、同居人がいた。 当初、『ワタクシごとではあるが同居人ができた』とコラムに書いたら、そのせいで(と思いたい)、それまで飲みに誘ってくれた人々からの誘いが、ピタっと途絶えた。その後、『亜紀ちゃん、やっと、おめでとう』と、私の将来を案じてくれていたらしい年上女性たちに、お皿だとか何だとかとにかく、‘ペア’ のものを頂くことが数回あった。 けど、同居人は女だった。 私よりうんと年下な […]

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