column

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<28>慧海と云えば・・・

  • 2005.05.14

自分の旅については、さくらえび通信なんか書いて人に云いたがるのに、そういえばあんまり誰かの紀行文を読んだことがない。 先日通りがかりの古本屋で、昭和35年に出された本が100円だったので、つい買って読んでみたらとても面白かった。当時の値段で290円と印刷されたその本は、立派なハードカバー。シミだらけだ。 河口慧海という名はあちこちで目にしてきたが、書物を読んだのは初めてのことだ。この人は日本人では […]

<27>春の雑草

  • 2005.04.01

八重桜ぼってり垂れるピンク調 ・・・春である。 感慨深い。春が来ると毎年思う、ああ、やっぱり今年も春が来たものだ、と。夏生まれのせいか、そして夏には郷の祭りがあるせいか、やはり夏を頂点とする節があり、春が来ると微かに焦るような、ああ本番が来てしまう、というような、そんな気分になる。一方、きっと若者は夏の湘南にナンパの夢見てこんな気分になるのだろう。 春である。 毎年この季節に静岡から送られてくる, […]

<26>私のための映画

  • 2004.11.14

近所の図書館のDVDコーナーに、1959年の新藤兼人監督の『第五福竜丸』があったので迷わず借りた。 第五福竜丸って何?という人もいると思う。1954年にビキニ環礁でアメリカが水爆実験したときに、付近にマグロをとりにいっていた、私の故郷、焼津の船の名である。 その後福竜丸がとってきたマグロはもちろん、乗り組み員の人びとも放射能をあび、23人全員が原爆症になってしまった、そういう歴史的事件の主人公にな […]

<25>風呂の栓

  • 2004.10.18

10月16日の四ッ谷のコンサートでは、たくさんのご来場、みなさま本当にありがとう。 また淡々といつもの調子に戻ります。 風呂の栓について。というか、旅のお伴について。 旅に出る時、必ず持ってゆくもの ●万年筆、替えのインク、その万年筆で書くための硬い表紙のノート。 ●ナンバーロック2つ3つ。 ●荷造り用テープ2メートルくらい(手で破けるもの)。 ●歯ブラシ(山切りカットの日本製)。 爪切りなどの日 […]

<24>焼津荒祭

  • 2004.08.19

今年も、故郷のまつりを見て来た。 思った。 焼津の祭はイチバンだ、と。イチバン、て、この世の祭全部を見たわけじゃない。他にもいい祭はいくつもあろうが。 毎年、ある理由で8月12日と13日のこの祭の全行程を見ることはできなかった。見れて6割程度だったか。 それが今年はじめて、この『歌う荒祭宣伝女』ですらはじめて、8割の行程を、行列やらなにやらにくっついて見て歩いた。炎天。不眠。深酒。そして何キロも歩 […]

<23>水羊羹

  • 2004.07.25

ケチなので、本当に好きなことは人に云いたくない。云ったって云わなくたって、別に誰も何も困らないけど、要は、満足をひとりでたっぷり味わっていたいので。 ひとりで旅をすることが多いのも、そういうケチさのせいだろう。いや、ケチなばっかりでなく、好きなものへのエネルギーは、そのうち体内で歌に変わるまで、手付かずにしておきたい、と、そういう思いもある。ア、それもケチの内か。 ケチだけど、まア今日はちょっと、 […]

<22>父というもの

  • 2004.07.17

2、3日前に実家から電話があり、いつものように、お前はちっとも連絡をよこさない、元気なのかそうでないのか、いったい日々何をしているというのか、と、始まった。 何してるって・・・。 でも思えばHPにライブのスケジュールがのってない日は毎日がお休みだ、と思って下さる人もいるのだから、親にしてみたら、ますます不可解なことだろう。 その前置きが終わると母が、『17日にお父さんが東京へ出張だから、アンタ、会 […]

<21>入梅

  • 2004.06.14

きのう、Tさんに写真を撮ってもらいに、都内某所へ出かけた。 案の定(?)、3台持っていたカメラのうち、ひとつが途中で壊れてしまい、メンテナンスしてる最中、急に冷え込んで来た。 『サブいですね。』 と云うと、Tさんはカメラから目を放さずに 『走ってくれば?』 と云う。 彼が冗談で云ったのはわかっていたけど、ふと見渡すと久しぶりに『草はら』の上に自分が立っている。そうだ、走ろう。こんな思いが自発的に湧 […]

<20>ばらむつ(続・あぶらそこむつ)

  • 2004.01.14

去年コラムに『あぶらそこむつ』のことを書いた。取引禁止に指定されている深海魚のことである。 そのうち手に入るから、そうしたら送る、と云ったきりだった知人から、つい最近クール宅急便が届いた。手紙が添えられていて、『あぶらそこむつはその後手に入ったが、友人がやってきたのでつい送ろうと思っていた分を食ってしまった、遅くなり申し訳ない』、そして、あぶらそこむつととても似ているが、正確には『ばらむつ』という […]

<19>小物に埋もれて

  • 2003.12.18

部屋を見渡す。 何やかや、モノがたくさんある。このせまい住処に、モノはどんどんやってくる。 もちろん必要なもの、縁有るものたちではあるが、そのせいで肝心なものがいざと云う時見つからない。探すと部屋が荒れ、大量のホコリが出、機材にかかるといけないと、気を使う。そいつらのせいで、より部屋がせまくなり、当の本人(家賃を払っている本人が!)が床で柔軟体操するにも遠慮がちである。 因にライブ会場でのアンケー […]

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